大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)19号 判決

2 そこでまず、本願商標の称呼について検討する。

本願商標が別紙(一)のとおり、「BRUMES」の各文字を一様に肉太のゴシツク文字で、同一大きさ、かつ、同一間隔で書かれたものであることからすると、本願商標からは、少なくとも「ブルームス」の称呼も極めて自然に生ずるものということができる。(原告もまた、本願商標から「ブルームス」の称呼が生ずることを認めている。)

なお、審決は、英語である「brunch」が「ブランチ」、「brush」が「ブラシ」と発音される例にならい、本願商標から英語風読みとして「ブラムス」の称呼が生ずる場合も少なくないとするが、英語の発音において、Uの文字が単語に現われる場合には、アルフアベツト読み(たとえば、Uの場合、「ユー」<省略>と発音すること)することが少なくなく、しかも、「単母音字(Uを含む。)+単子音字+e(サイレント)」というつづり字型で終る語においては、右の単母音字は、アルフアベツト読みし又は長母音(たとえば、Uの場合、「ウー」(<省略>)として発音するとの発音上の通則があること、他方、二個の子音字の前にある一母音字は、これを短母音として発音する(たとえば brush, brunch)のが発音上一般であることなどからすれば、本願商標を「ブラムス」と呼称することにはいささか不自然さが存する。もつとも、このことは、本願商標から、前記のとおり「ブルームス」との称呼が生ずることを左右するものではない。

3 次に、本願商標と引用商標との称呼上の類否について考える。

引用商標が別紙(二)のとおりの構成よりなるものであることからすると、これより「ブラームス」の称呼が生ずることは明らかである。

ところで、右「ブラームス」と前記「ブルームス」とを対比するに、両者は、いずれも四音からなり、第二音において、本願商標では「ルー」、引用商標では「ラー」の差異があるだけで他の音は同一であり、しかも、右「ルー」及び「ラー」の各音は、いずれもラ行の長音として近似性があり、これらの諸点を併せ考えると、両者は、全体的語調ないし語感が近似しており、直感的には彼此いずれかを区別しがたい程度に相紛らわしいものであることは、経験則に照らして明らかである。そして、本願商標及び引用商標の指定商品が前記のとおり共に日常の生活用品である歯みがきやせつけん類を含むものであつてみると、本願商標に接する取引者、需要者が右程度の差異があることだけでは、相応の注意力を払い彼此相紛れることなく取引に当たるものとは考えられず、他にこれを左右する特段の事情をうかがう資料もない。

そうすると、本願商標と引用商標とは称呼上類似するものというべきである。

4 以上のとおりであるから、本願商標と引用商標とが称呼において類似するとした審決の判断は、結局相当であり、両商標が称呼上類似しないとする原告の主張は採用できない。

5 なお、原告は、引用商標と登録第六二三三一八号商標との関係について言及するところがあるが、審査、登録における過去の取扱い例にあらわれた判断が、本件の商標類否の判断を拘束するものでないことはいうまでもないから、原告の右指摘も考慮の余地はない。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求はこれを失当として棄却する。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

別紙

(一)

<省略>

(二)

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!